第24回 アフリカへの日本の売り込み方(2)

9月も終盤にかかり、非常に悲しい出来事がケニアで起こりました。ナイロビの中でも安全だと言われていたウエストランド地域にある、高級ショッピングセンターのウエストゲート・モールを、アルカイダと関係している、ソマリアのイスラム系武装勢力アル・シャバーブが襲撃しました。「ナイロビの治安は悪い」というのは、半ば常識ですが、このような大規模テロによる無差別攻撃は、2002年のモンバサ、キカンバラ・ホテル襲撃以来で、これだけの犠牲者が出たのは、1998年のアメリカ大使館爆破事件以来です。

ナイロビの景色。

ナイロビの景色。

ウエストゲート・モールは、私も何度か買い物をしに行った事があります。おしゃれなカフェや、今回襲撃者が最後まで立てこもっていた、ニャクマットという東アフリカ全域にある印僑資本のスーパーマーケットがあり、ルワンダで手に入りにくい物を調達するのに重宝していました。

東アフリカ地域は、この所比較的安定していました(もっとも、ケニアでは2007年選挙で大規模暴動がありました)が、今回の出来事が発展を続ける東アフリカへの投資や経済成長に影を落とすことが懸念されます。

今回のテロは、アフリカ機構のソマリア派兵の一員としてケニアが、アル・シャバーブ殲滅作戦に関わっていることへの報復という見方が多数です。実は小規模なテロ事件は去年あたりから起こっており、こういった大規模無差別テロの危険性も示唆されていたそうです。

今回の事件で、やはりアフリカは危険だという思いをお持ちになった方もいらっしゃると思います。確かに政治的不安定さからくる、治安状況は他の開発途上国地域に比べてもけっして良いとは言えません。かといってアフリカだけが大きなテロの危険性があるわけでなく、フィリピンやインドネシアといった、日本になじみの深い東南アジアの国でも起こっています。また先進国でも、記憶に新しいところでは、2013年のボストンマラソン爆破テロや、2011年に77名が犠牲になったノルウェーの連続テロ事件などがありました。ショッピング・モールのような、いわゆる「ソフトターゲット」を狙ったテロは、先進国でも今後増えると予想されています。

さて、今回も前回に引き続き、日本とアフリカとの関係の深化のために出来ることについて私見を書かせていただきます。

先月は、啓蒙活動を通して日本とアフリカ諸国との「距離感」を狭める事が必要ではないかと書きました。 前回は、日本をアフリカに「売る」ためには何をアピールするかでした。 今回はイメージ戦略を超えた、実務的な部分で必要な物は何かを書かせていただきます。

先月も書きましたが、アフリカ諸国に関しての、日本語情報が非常に少ないです。旅行記、観光情報、そしてニュースなどはありますが、特にビジネス関係の情報は、非常に限られています。 例えば、グーグルで「ルワンダ・ビジネス」と検索をしたところ、55万件ヒットし、一番上に上がってきたのがルワンダ大使館の投資関連情報でした。 同様な検索を「ラオス・ビジネス」で検索すると、130万件、検索一番目には民間ビジネスニュース、そして2番目にはJETROの国別情報が上がってきます。

英語やフランス等での情報はまだ多いのですが、アフリカのそれほどメジャーでない国のビジネス情報は日本語では本当に少ないです。 JETROのオフィスがある国ですと、かなりましで、例えばケニアですと、JETROの国別情報 (*1) もあります。ケニア進出に関する商制度及び商法、投資コスト、セクター・職種別の平均賃金などの情報もあります。特にケニアらしい情報だと思ったのは、中古車の輸出に関しての情報で、彼の地での日本車の人気を考えるとさもありなんという気がします。

アジア地域に関しては、このような情報を得るのはそう難しくはないのですが(JETROの国別サイトも、アジア地域 20ヶ国分載っています)、アフリカ諸国の分は非常に限られています(JETROのサイトでは6か国分しか載っていません)。

こういった情報は、ある地域に進出しようと考える企業にとって非常に重要です。自分が進出を考えるなら、特にクオリティの高い人材の確保、賃金情報、起業・廃業に関しての手続き情報、税に関しての情報(優遇策も含めて)、不動産情報(オフィスの賃料)、公共インフラの整備度などの情報が欲しいと思います。

こういった情報を集め、対象国の言語に訳し(日本相手の場合は日本語にして)、一元化した場所に置く事は、投資を呼び込む上で最低限必要です。願わくば、JETROがもっと多くの国の情報を集めてくださると良いのですが、投資を呼び込もうとする国も、もう少し本腰を入れて、このような情報を集積し多言語化する必要があると思います。こういったノウハウは、残念ながらアフリカ諸国では未だ積極的に行われていない様に思われます。

ルワンダでは、私の古巣のルワンダ開発局が、投資誘致活動を行っています。英語とフランス語での投資・企業情報は国際連合貿易開発会議 がサポートして作った、eRegulations Rwanda (*2) というサイトで一元化されています。お世辞にもあまり見やすいサイトではないですが、ここに来ればルワンダでの起業に関する情報が手に入ります。

 eRegulations Rwanda のサイト

eRegulations Rwanda のサイト

かなりお金がかかりますが、このようなサイトを多国語で展開していくのは、他国との差別化にもなりますので、積極的に検討していく必要があるのではないでしょうか。

 

 

*1  JETRO 海外ビジネス情報国・地域別情報アフリカ・ケニア

*2 eRegulations Rwanda http://rwanda.eregulations.org/

 

ブログ執筆者執筆者:山中敦之

阪神大震災の際に情報通信技術が災害復興に役立つ経験をして以来、モンゴルを始め世界中色々なところで情報通信技術を国や社会の開発に役立てる活動を行う。2010年初頭よりアフリカのルワンダで情報通信技術の政策アドバイザーをしています。

アフリカは過去に何回か短期出張で来ましたが、長期滞在は千の丘の国であるルワンダが初めてです。自分より日本人ぽいルワンダ人に時に戸惑いつつも、情報通信技術を使った社会・経済発展を進めるべく奮闘中。ルワンダだけでなく近隣国を含め、日本からはまだ遠いアフリカのことを少しでもご紹介できたら良いかと思っております。

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