第23回 アフリカへの日本の売り込み方 (1)

日本は猛暑だと聞きますが、ワシントンDCはしばらく前から季節外れの涼しい日が続いており、夏の様な気がしません。

ワシントンDCで私が住んでいる場所はかなり都市部ですが、郡の「カウンティフェア」=「夏祭り」は、移動遊園地以外に、「子豚のレース」や「ポニーの乗馬」など、アメリカの田舎の雰囲気が出ています。ものすごくアメリカっぽい食べ物(どぎつい色の綿飴やオレオクッキーのフライなど)など、ご紹介したいものも沢山あります。

日本では考えられない様なカラフルな色がついた綿飴が売っています(写真は郡の経済発展局から転用)

日本では考えられない様なカラフルな色がついた綿飴が売っています
(写真は郡の経済発展局から転用)
*Courtesy of Arlington Economic Development,

しかし、今回は安倍首相がアフリカ訪問を計画しているというニュースが入りましたので、そちらを先に書きます。

6月に、横浜で行われたアフリカ開発会議で安倍首相が約束されたアフリカ訪問が、8月に入りどうやら具体的な日程調整に入ったようです。首相のアフリカ訪問が、こうも早く決まったのは、アフリカの開発に関わる者にとって、非常に喜ばしいところです。もし実現すると、小泉首相が2006年にエチオピアとガーナを訪問して以来、約8年ぶりに、日本の現職首相がアフリカ大陸を訪問する事になります。

ニュースによると(*1) 、来年の一月、主に資源が豊富な国をめぐる方向で調整しているそうです。 政情不安ではありますが、非常に多くの資源があるコンゴ民主共和国・自衛隊が国連平和維持軍として活動している南スーダン、石油資源が豊富で日本の地デジの規格を取り入れたアンゴラ・象牙海岸などを考えておられるようです。

日本にとって、アフリカの豊富な資源の確保は重要ですが、トップセールスとして日本の製品や技術を売り込んでいこうという意図はあまり感じられません。資源的にあまり豊富でない東アフリカ地域で活動している者としては、アフリカを市場として認識しておられないことに残念な思いがしています。

もう少し突っ込んで言えば、現在アフリカ地域で影響力を伸ばしている中国、トルコ、韓国、そして欧米各国に対して、どのように日本の影響力を伸ばしていくつもりなのか、国家としての戦略がはっきり見えてきません。

15年前までなら現在中国が行っている様な形での開発援助のバラマキはできたかもしれませんが、現在の日本の財政状況ではとてもそれだけの余裕はないでしょうし、また同じような事をやっても、それをテコに市場に食い込む民間企業の貪欲さがなければ日本の影響力が増えるとも思われません。

このような状況を前提とすると今できることは、先ず、日本とアフリカ諸国との「心理的距離感」を狭める事だと思います。そのためにはマスコミを中心にもっと情報を受発信することが必要ではないでしょうか。

このブログでも何回か書かせていただきましたが、日本人にとってアフリカ大陸は非常に遠いというイメージのようです。実際には南米の方が距離的には遠いのですが、情報量の少なさもあり、地球の果てというイメージを持たれている方も多いようです。

今でこそ、マスコミでもアフリカの特集が少しは組まれるようになりましたが、依然アフリカに関しての情報量(特に日本語での)は圧倒的に足りません。一旦興味が出てくれば、英語等の情報はインターネットなどにたくさんありますが、何かきっかけが無ければ、調べる気にもならないでしょう。

これはアフリカでも同じです。トヨタ、ソニーは知っていても、日本や日本人に関しての情報が正確に伝わっているとは言えません。時々NHKの古い日本紹介の番組が、現地のTV局で流れることはあります。しかし、韓流ドラマを配っている韓国や、現地にケーブルTVのサービスを作り、本土からの衛星放送を流している中国に比べて、日本の取り組みは見劣りします。一例を挙げれば、NHKの海外向け放送の天気予報には、アフリカ地域が出てきません(中国や韓国の海外向け放送にはあるのに)。

過去には東南アジア、イラン、その他中東各地で流された「おしん」など、日本文化と社会に対しての理解を深めた番組がありましたが、今はあまり聞きません。

しかし、アフリカのルワンダにも日本のアニメなどが好きな「オタク」はおり、日本のアニメの鑑賞会などを定期的に開いています。これらの興味を積極的に喚起していけば、もっと日本に興味を持ってくれるのではないでしょうか。

前回のTICADの際には、ルワンダからICT商工会議所のメンバーが日本にやってきましたが、そのメンバーの一部は新興の民間放送局の重役でした。
彼らは日本のアニメをルワンダで放映したいという意向を持っていましたが、新しい物や、人気のある既存のアニメは、値段的に厳しいようです。本来ならば、こういったところにも「クールジャパン」キャンペーンの一環でサポートがあるともっと効果的だと思います。

ちなみに、ルワンダへのアニメの配信に関しては、前にこのブログで紹介したこともある、神戸電子専門学校と面白いプロジェクトを考えています。

TICAD-Vの折に、ルワンダ民間放送局の重役が神戸電子専門学校(アニメ学科)を訪問した折の写真(*神戸電子専門学校のサイトから借用させていただきました)

TICAD-Vの折に、ルワンダ民間放送局の重役が神戸電子専門学校(アニメ学科)を訪問した折の写真
(*神戸電子専門学校のサイトから借用させていただきました)

今回の首相のアフリカ訪問は、民間企業の方々も多く同行されますので、現地でセールスに励まれるとは思います。日本のブランド力が残っている今のうちに、積極的かつ継続的な形で、アフリカ市場に進出していける日本企業が増えていけば良いと願っています。

このブログを見て、ルワンダでのICT産業の可能性に興味を持ってお問い合わせくださった方もいらっしゃいます。私もわずかでも両国の架け橋になれればと思っています。

次回は、続きとして、「日本という存在の啓蒙キャンペーン」以外に、どのような活動をすれば、アフリカに日本を売りこめるのかを、ご紹介したいと思います。

 

 

*1  首相が資源外交でアフリカ訪問検討 来年1月にも, 産経ニュース, 2013.8.14 15:51
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130814/plc13081415520015-n1.htm

 

ブログ執筆者執筆者:山中敦之

阪神大震災の際に情報通信技術が災害復興に役立つ経験をして以来、モンゴルを始め世界中色々なところで情報通信技術を国や社会の開発に役立てる活動を行う。2010年初頭よりアフリカのルワンダで情報通信技術の政策アドバイザーをしています。

アフリカは過去に何回か短期出張で来ましたが、長期滞在は千の丘の国であるルワンダが初めてです。自分より日本人ぽいルワンダ人に時に戸惑いつつも、情報通信技術を使った社会・経済発展を進めるべく奮闘中。ルワンダだけでなく近隣国を含め、日本からはまだ遠いアフリカのことを少しでもご紹介できたら良いかと思っております。

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