第21回 日本とアフリカの真のパートナーシップ構築には

前回お伝えしました通り、5月の中旬から6月の頭にかけ、日本に出張で帰ってきました。前回の日本滞在中は、このブログをホストされている、ドラゴン・ラボラトリーズの堀口さんが教えてらっしゃる、千葉商科大学の学生さんに開発途上国のビジネスについてお話しさせてもらう機会もいただきましたが、一番大きなイベントは、5年に一度のアフリカ開発会議(TICAD)でした。

 

今回5回目となるこの会議には、アフリカ44か国、39か国の国家元首が参加されました。約3日間に渡り、今後日本とのパートナーシップをどのように構築していくか協議を行いました。

今回のTICADでは、これまでの様な形のODAを中心とした支援ではなく、民間企業主導による、投資増大を進める事が謳われました。日本政府は、この新しい形の日・阿の戦略パートナーシップを積極的にサポートするそうです。これから色々な形で具体的になっていくと思いますが、日本の民間事業者がアフリカ市場に出て行き、現地の事業体(企業や民間セクター)とパートナーシップを作ることを目指しています。

今回のTICADでは、JETRO(日本貿易復興機構)が主催するアフリカン・フェア(*1) が共催イベントとして行われました。これは、アフリカ各国が自国の産出品などを啓蒙したり、ビジネスの商談などを行う場として企画・施行されました。 このアフリカン・フェアは、一般の方々も無料で参加できるため、5万7000人弱という、非常に多くの方々がいらっしゃいました。

このフェアでは、ルワンダもかなり大きなブースをいただき、コーヒーと紅茶、観光、そしてICTセクターを啓蒙しました。フェアでは、ルワンダのICTセクターから人を呼び、ブースに来られたお客様や、来館していただいた企業の方々に、ルワンダのICTセクターの可能性を売ってもらいました。私も、ルワンダのICTセクター支援のために、このブースに入り、お手伝いしました。

JETROアフリカンフェアのルワンダブース。ルワンダ共和国は2ブース分いただき、主に右半分でコーヒー、紅茶、観光、左半分でICTセクターの展示を行いました。

JETROアフリカンフェアのルワンダブース。ルワンダ共和国は2ブース分いただき、主に右半分でコーヒー、紅茶、観光、左半分でICTセクターの展示を行いました。

他の国のブースが、民芸品、食品、観光、衣類、鉱物資源などを売りにしている中、ルワンダのブースは、ICTを使ったBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などについても売り込みを図りました。

このアフリカン・フェアには、日本企業も出展しており、その中にはICTを使ったサービスを提供している会社や、アニメ・コンテンツをアフリカに配信している会社なども出展されていました。また政府の「Cool Japan」戦略をアフリカに広めるための展示ブースが設けられていたり、アフリカからの展示のみならず、日本発アフリカ向けの面白い展示もありました。

この会議では、他にも多くのサイド・イベントが行われたのですが、その枠の一つは、「ルワンダと日本の間で起こっている情報技術(ICT)によるイノベーション」というシンポジウムでした。ルワンダのICTセクターを色々な形で支援してくださっている、神戸情報大学院大学院 (*2)の主催により行われました。他のサイド・イベントが、古くから言われているアフリカの問題(紛争、保険医療、教育)に関して論じている中、このセッションは非常に未来志向でした。アフリカの可能性と、日本との本当の意味でのパートナーシップの可能性を全面に出したサイドイベントでした。

このシンポジウムには、TICAD最終日かつJETROのアフリカフェアが終わっている中にもかかわらず、100人弱の参加者の方に来ていただきました。

Photo Credit: © KIC - 神戸情報大学大学院 「ルワンダと日本の間で起こっている情報技術(ICT)によるイノベーション」シンポジウムの様子写真は神戸情報大学大学院のページより再掲載させていただきました。

Photo Credit: © KIC – 神戸情報大学大学院
「ルワンダと日本の間で起こっている情報技術(ICT)によるイノベーション」シンポジウムの様子写真は神戸情報大学大学院のページより再掲載させていただきました。(*3)

キーノート・メッセージとして、ルワンダ青年ICT大臣のビデオメッセージをいただき、その後、外務省アフリカ部 第五回アフリカ開発会議事務局 事務局長特別補佐の宮下様より開催挨拶をいただき、パネル・ディスカッションへと移っていきました。

パネリストには、ルワンダ側からICT商工会議所所長とソフトウェア協会会長、日本側から神戸情報大学大院大学の炭谷学長、ルワンダでBPOビジネスを展開されているRexvirt社の田中社長、JICA案件で技術系の人材育成に関わっておられる西山さんの5人に出ていただきました。私もモデレータとして参加させていただきました。

ルワンダの現状を、パネリストの皆さんからお話しいただき、なぜルワンダがICTを国の成長の重要なエンジンとして採択し、それを道具として使い、国の開発に役立てているのかを討議しました。

シンポジウムに来てくださった方々は、非常に勉強されている方が多く、その後のQ&Aも的確な質問が多かったです。

アフリカン・フェアの全体を一言で言えば、「アフリカって日本人の意識からは遠いのね」を再認識させられる物でしたが、そうはいっても、皆様の関心は高く、ルワンダのICTを使った国の開発の話やアフリカ発の電子マネーの話などをすると、非常に驚いていらっしゃる方が多かったです。特に、若い方とお年を召された方の関心が高かったのが印象的でした。 前記させていただいた、千葉商科大学の学生さんも一人、アフリカン・フェアとシンポジウムの両方に来ていただき、勉強になったとお話しされていました。

5年に一度の機会ですから、もう少し活動が出来たと反省する点もありますが、今後、日本においてアフリカの可能性やパートナーシップを築く上で、大きな一歩となったのではないでしょうか。

5年後の次のアフリカ開発会議が行われる際に、今回種を撒いたものがどれだけ育っているのか、楽しみです。

 

 

*1  JETROアフリカン・フェアhttp://www.jetro.go.jp/events/af2013/

*2 神戸情報大学大学院 http://www.kic.ac.jp/

*3 「TICAD V(第5回アフリカ開発会議)サイドイベントにてシンポジウムを開催しました。」 、神戸情報大学大学院、横浜、2013年6月3日、http://www.kic.ac.jp/node/288

ブログ執筆者執筆者:山中敦之

阪神大震災の際に情報通信技術が災害復興に役立つ経験をして以来、モンゴルを始め世界中色々なところで情報通信技術を国や社会の開発に役立てる活動を行う。2010年初頭よりアフリカのルワンダで情報通信技術の政策アドバイザーをしています。

アフリカは過去に何回か短期出張で来ましたが、長期滞在は千の丘の国であるルワンダが初めてです。自分より日本人ぽいルワンダ人に時に戸惑いつつも、情報通信技術を使った社会・経済発展を進めるべく奮闘中。ルワンダだけでなく近隣国を含め、日本からはまだ遠いアフリカのことを少しでもご紹介できたら良いかと思っております。

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