Episode20:イノベーション事始め (2)「キーワードは、早く・安く・大きく変化のあるアウトプットで!」

相変わらず札幌と東京を行き来する日々が続いています。東京は既に真夏日に届こうかという陽気であるのに対して、札幌はやっとタンポポ、桜、梅が開花し、銀杏も芽を出し始めました。ちなみに開花の順番はタンポポ→桜(ソメイヨシノ)→梅の順で間違っていませんのであしからず。北海道は独特の四季があるのです(笑)。まだ満開までは数日かかりますから、お花見はもう少し待たなければいけませんね。

札幌でもやっとさくらが“開花”しました。(14日撮影)

札幌でもやっとさくらが“開花”しました。(14日撮影)

さて、先月はイノベーション事始めと題して、最近変化してきた仕事の進め方や考え方についての雑感をお届けしています。本日はその2回目。

私は会社の中でチームの一員として、これまで様々なプロジェクトに関わり、また最近はリーダーとして新しい装置やシステムを開発する仕事をしていますが、着々とこなしていく一方で、技術やモノづくりの限界も感じています。テクノロジーだけでは、自分たちが“技術的”に満足するところまでは持って行けても、世の中に受け入れてもらえる“価値”があるところまで届かないという現実です。会社組織が大きいため、マーケット・インで開発を立ち上げようとすると、既存システムから変わることによる、不安要素ばかりがクローズアップされ、組織横断するほどその抵抗力は増していきます。議論は平行線で膠着し、時間ばかりが過ぎていきます。

従って、我々技術屋チームとしては、やや強引ではありますが、まずモノづくりを先行し、プロトタイプで実証をした後に、実運用の検討に入るプロダクト・アウト的なアプローチになってしまいます。しかし、プロトタイプでは想定外の問題が見つかってしまうと、しばらくデッドロックにはまった状態になってしまうため、そこから抜け出すのにずいぶん苦労をしたものです。

このコラムで何度かご紹介している、JAXAとの共同開発プロジェクトもスタートアップ時は大変難しい状況でした。「屋内GPS測位技術」が既にJAXAで開発されていて、これをどう事業化できるかというのが、我々のミッションです。技術的な展開は、実験をして評価して、課題が見つかればそこを改良していけば良いという風に、先を読めるのですが、この技術をコンテンツとしてどう展開するかという点では、どこで、誰(エンドユーザー)のために、誰(サービス提供者)が行うかによって、それぞれ異なってくるので、ここを絞り込むのに大変苦労します。とりあえず私、鉄道会社の人間が関わっているので、「駅」をキーワードにしてみましたが、それでも、「駅員」向けか、「お客様のナビツール」、はたまた駅のテナント向けの「販促ツール」かなど、議論は尽きません。「屋内位置情報」というのは、将来の可能性がある一方で、どこから始めると作りやすくて、インパクトのあるコンテンツになるかと考えると、結論を出すにはかなりの時間を要します。

しかし、ICTに関わる技術というのは皆様ご存じの通り、まさに日進月歩であり、今は「可能性を感じる」技術も1年過ぎると当たり前もしくは廃れた技術になりかねません。屋内測位技術も既にwi-fiやスマートフォンの内蔵センサを使ったものなど、既に数々の先行技術が存在しており、我々の技術も「技術」としては優れたものであっても、ユーザーに「使える」というインパクトが強くないと、ライバルとして名乗りすら上げられない状況です。

従って「早く、安く、大きくて変化のあるアウトプット」で実現することを目標に、プロジェクトを進めていきました。開発も技術サイド、企画サイドの一方からではなく「同時双方向」とし、技術についてもこれまでの「自前主義(=自社のオリジナルのみを採用する)」から脱却し、異業種・異分野の混成チームで開発を行います。マーケット・インとプロダクト・アウトを同時並行で進め、モノ作りをしながら企画を考え、主観と客観ごちゃ混ぜで進めています。この一見カオスのような不安定そうに見える状態が、イノベーションの正常なエンジンなのかもしれませんね。

かちっとまとまる部分と、まとまらず空中分解しそうな部分が、毎回集まる毎に違うように見え隠れし、しかしめげずに毎回ワイワイ議論しながら進めているので、現在進行中のまっただ中という今、これが結果ブレイクスルーとなってインパクトのある成果を出せるのか?日の目も見ずに失敗に終わるか?その差はどうも紙一重のようで、まだまだ結末はこのプロジェクトが終わる来年春の直前までわかりません!?

異業種・異分野の集団は、その目標が同じベクトルを持ち、相互の実力や立場を理解できてくると、これまでに無いパワフルなパフォーマンスを発揮します。ユニークで柔らかい発想やアイディアというものは、普通簡単には出てこないものですが、こういう異業種混成チームでは、条件が揃うと結構ポンポンと簡単に出てきます。チームの中にも自然に、次に繋がっていくモノ作り、インパクトのあるアウトプットという発想が、だんだん発信されてくるようになりました。全て思ったとおりというわけにはいきませんが、これまでモノ作りだけで終わってきた悔しい思いから、一歩前へ踏み出せたような感じがします。

しかし、ここからがまた未体験ゾーン!「早く、安く、大きく変化のある形」の思いを共有できたら、次はコレをどういうアクションで実現していくか、それもあと10ヶ月で!!という、また新たな悩みと挑戦が始まります。6月のキックオフミーティングに向けて、ひたすらディスカッションは続きます。

よくJAXAさんと打合せするのですが、JAXAには、いろいろ珍しいものがディスプレイされています(笑)。たとえば宇宙服とか・・・。

よくJAXAさんと打合せするのですが、JAXAには、いろいろ珍しいものがディスプレイされています(笑)。たとえば宇宙服とか・・・。

 

ブログ執筆者執筆者:Asoo

北海道にて技術屋稼業もはや15年。鉄道システムエンジニアとして、もう少しで一人前と認められるかな?というところで、数々の壁にぶち当たり、試行錯誤を繰り返し五里霧中の日々を送る。仕事では、” Think globally, Act locally ! ” を信条としながらも、時には北海道のゆったりした空気に身を任せて「明日は明日の風が吹く」と自然体を大切にする。この「ゆるさ」が醸し出す雰囲気が、どうも私の特徴のようだ。結構切羽詰まっていながら、このように日々のほほんと過ごしている私の、鼻歌みたいな独り言をお送りします。

 

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