Episode19:イノベーション事始め (1)「木を見て森も見る」

こんにちは、Asooです。

今年は特に雪の多い札幌の冬でしたが、4月に入ってみるみる消えていきました。桜の季節はもうひと月ほど先ですが、少しずつ春の足音も聞こえてきます。

羽田へ向かう機窓より(2013.4.4苫小牧上空から支笏湖方面を望む)

羽田へ向かう機窓より
(2013.4.4苫小牧上空から支笏湖方面を望む)

仕事の暦で言えば、4月は正月を迎えたようなもので、私たちにとっても区切りの季節です。私の会社内のポジションも勤続年数とともに変わり、歳を重ねると(当たり前ですが)、作業する立場から徐々に企画立案する方向にシフトしていきます。昨年度の納品も無事終わり、客先からも特にクレームが付いたり、大きな失敗があったりしたわけでは無く、何とか一段落ついたのですが、一担当の頃に感じていた、終わった後の達成感というか、できる全てをやりきった爽快感のような気持ちが、年々薄れているように感じます。

仕事をサボっているわけでもなく、手を抜いているつもりもないのに、「なぜ?」なのか。

ここ最近数年間の私の仕事を少し振り返って考えてみると、規模の大小の差こそあれ、主に新しいプロジェクトのスタートアップや、これまでの仕事のやり方や仕組みを変えるシステム作りに携わってきました。格好良く言えば「イノベーション」を果たすことが、現ポジション(開発部長)の大きなミッションとなっています。

このイノベーションという言葉、実は個人的にはあまり好きではありません。特別っぽい響きや、扱われ方をすることが多いと感じるためです。実際、開発業務に限らず、どんな仕事にも共通していると思うのですが、いろいろ説明をするときにイノベーションという括りの方が話しやすいので、仕事の仕方や考え方について、少々偏っているとは思いますが、持論をお話したいと思います。

私が担当として技術の仕事を学んだ環境は、カリスマ的な経営者兼技術者の号令の下、私たち開発組織メンバーがその方針を細分化し、計画を実行していくことで成果を積み上げてきました。トップの“想い”を部下も共有し、その“想い”が全体の推進力になっていきます。私たち担当は、上司の“リーダーシップ”に対して“フォロワーシップ”を発揮することが求められ、それぞれ個性的な能力と合わせて、様々な画期的システムを送り出してきました。例えば、課題が上から落ちてきたら、解決選択肢を最低5、できれば10くらい考えて、それを説明できること。アイディアは常に拡大再生産され、ブラッシュアップされていく。フォロワーは常に数ステップ先を考えて、選択肢を考え、それに責任を持つべきと教えられてきました。

自分も、リーダー側に徐々に立場が寄っていくのですが、なかなかこのようにしてチームを率いていくことは、もちろんできません。一方で、仕事を進めていく中で、「新たな発想」を開発に織り込んでいくことがだんだん難しくなっています。

(ここから数行は愚痴になりますが・・・)
ICTを活用することが多いため、組織横断的に適用してこそ効果が高いのですが、なかなか組織の壁を打ち破れない、「新たな発想」=「(ある程度の)過去の否定」となるため抵抗が強い、任せても頂けないがまとめてももらえない・・・、など現状はなかなか厳しいものがあります。

今の私の場合、ここの調整能力が決定的に欠けているというか、足りないと反省しています。結局は時間切れや予算の制約など、いささか不本意ではあるのですが、こうした「不条理」を理由に、そのまま仕事を進めてしまっているのが、冒頭にお話しした今ひとつ仕事の成果に満足できない最大の理由だと自分なりに思っています。

とは言え、泣き言ばかり並べても仕方がないので、こういう思いであまりストレスをため込まないように、昨年あたりから徐々に、いろいろなアプローチを試みています。

調整の基本は、「話してナンボ!?」ということで、とにかく相手の懐に飛び込むことから始めています。あまり深く話を聞き過ぎると、収拾がつかないこともしばしばですが、こちら作り手の事情は全て横に置いて、言いたいことを言ってもらいます。話を聞くと不思議なもので、同じ組織でもその職制や立場が違うと、同じテーマでも総論から各論まで、違う捉え方や認識をしていることが多いことがわかってきました。「それはそちらでまとめておいてくださいよ」と言っても良いのですが、私の方が話を全て聞いているので、こちらで最大公約数(時に最小公倍数)をまとめて、何度か話をしていくと、レベリングが取れてきます。相手の話ばかりに合わせていると、目標レベルも自然と下がりますので、そのあたりは十分考慮をしなければならず、そこが話の持って行き方の難しいところです。
あとになってある大学の先生の論文を拝見すると、「木を見て森も見る」という考え方が、新たなソリューションを見つけ出す設計の視点だと書いてありましたが、まさに「お~、それそれ!」という感じです。

以前、私たち輸送事業の業務には「2.5人称の視点」が求められると教わったことがあります。観点は少し違いますが、「木を見て森も見る」というのもこれに通じるものがあって、クライアント(一人称)やその周り(二人称)の立場に引かれすぎると、あるべき姿が現状に押され「壁」が破れず、第三者的にあるべき姿のみを通せば、理想論に終始する「乾いた三人称視点」となり、これも話が前に進みません。設計の立場は、三人称視点なのですが、一人称や二人称の立場や考え方を考慮し、ものづくりの専門家として冷静に見る「2.5人称視点」で、実現していくことが大切だと思います。

さて、こうして基本構想やものづくりの設計を進めていくのですが、実際にどう進めて、どうつまずいてきたのか? 次回は実例、経験談を交えてお話したいと思います。

SLの整備も最終段階。GWから、春の函館・大沼を駆け抜けます。

SLの整備も最終段階。GWから、春の函館・大沼を駆け抜けます。

 

 

ブログ執筆者執筆者:Asoo

北海道にて技術屋稼業もはや15年。鉄道システムエンジニアとして、もう少しで一人前と認められるかな?というところで、数々の壁にぶち当たり、試行錯誤を繰り返し五里霧中の日々を送る。仕事では、” Think globally, Act locally ! ” を信条としながらも、時には北海道のゆったりした空気に身を任せて「明日は明日の風が吹く」と自然体を大切にする。この「ゆるさ」が醸し出す雰囲気が、どうも私の特徴のようだ。結構切羽詰まっていながら、このように日々のほほんと過ごしている私の、鼻歌みたいな独り言をお送りします。

 

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