感覚のズレを眺めつつ

こんにちは。Alexです。

就職してから、仕事のことだけ考えて走っていた生活でしたが、最近、その勢いは、大きく形を変えました。 会社のご配慮で、事務職になったAlexでしたが、業務を引継ぐ相手もいないのに、勤務場所だけ事務所に縛りつけられ、プラスアルファでつまらない入力作業を押し付けられ、それはそれは、大変でした。

ところが、Alexのボスになる人(引継ぎをする相手)が現れ、その後2ヶ月。私の仕事は、相当楽になり、事務仕事やデータのまとめ、分析に集中しています。「俺には600人の部下がいた」「こんな・あんな経験をした」と大風呂敷を広げながらこの会社にやってきた新しいボスでしたが、最近は、やはり現場に忙殺されています。

「活動の原点に立ち返り、本来やるべきことに方向性を合わせる」なんて考えられるほど、立ち止まれる瞬間すら、彼にはないはずです。その様子を見ながらAlexは、「誰がやってもこうなるんだな~」 と振り返りつつ、頑張ってくださっている上司に対して、心からありがとう、と思う。

「本当に大変だと思います。その状態は、よくわかります。いつもありがとうございます。くれぐれも、お体に気をつけて、ご家族への時間もとってください」

「あなたの仕事のここまではやっておきました。最後、AかBかを決めるだけですので、決められたら教えて下さい。その後の仕事はフォローアップしておきます」と、現場で共に走ることはできないから、違う形でサポートしながら伴走することにした。

Alexは裏方でのサポートに徹している。時々、スタッフの顔が見たくて、お店にも顔を出したいのだけれど、ふと、代替わりになった中小同族企業のスタッフの話を思い出してしまう。

「隠居したはずの社長の奥さんが、暇だから今でも我が物顔で会社に出入りして、正直、仕事の邪魔なんですよね~」

・・・・Alexは、そんな状態になりたくないので、必要な時だけ顔を出すことにしている。4ヶ月か後には、Alexは産休をとる身。 裏に徹して新しいリーダーを作ることが、美学。

合弁会社の経営上の問題点は、すでに私の領域をはるかに超えて天上人の議題となった。問題を平たく言うと、提携してノウハウを適当に学んだところで、シンガポール側のチームが約束を破って、勝手に運営しはじめた。

きっと新興国ではよくある話のひとつなのでしょう。最初だけ提携先にノウハウを教えてもらい、適当に学んだところで自分の会社を作り、似たようなチャチなものを作り、稼ぐとか。負債を積み重ねながら、多店舗を開店させ、それによる資金ショートで合弁を自然に解消、資金力があるほうの会社が買い取る・・・なんてシナリオは。

そんな流れの中にある会社で働くAlexは、「私の守備範囲では、上記の問題は範疇外。私は自分の仕事をするのみ」と思うしかない。真摯にビジネスに取り組みたい私にとっては、経営のことを考えると、「なんだかなぁ」と思うことが多い。たとえば、世界の経済はいずこもスローペース。シンガポールの政府系投資会社が海外、例えば、日本の不動産を購入しても、日本の不動産価格が半減していれば、投資の採算が合わないはず。海外投資にも積極的なので、当然、シンガポールの経済成長は世界の流れと共に、減速せざるをえないでしょう。

ところが、うちの会社の経営陣には経済成長ピーク時の「出店イケイケ型」がパターン化しており、減速経済に合わせた経営体制をつくるには、相当時間がかかるように見えるのです。

国内に目を向ければ、経済成長のスピードダウンを国民に感じさせないようにするために、政府は安い外国人労働者へのビザ発給を極端に制限し、シンガポール人に仕事が回るようにしています。シンガポールにとって、外国人労働力は景気変動への緩衝材。経済が悪い時期には、外国人を締め出すことで、シンガポール人が収入に苦しまない仕組。2008年のリーマンショックの頃も、似たような兆候はあったものの、現在(2012~2013年にかけて)は、政府の外国人労働者の絞り込み方がハンパない。サービス業界では、店が立ち行かなくなるほどに、人材が不足。Alexがいる会社も外国人労働者に頼っていたのですが、現在、500名以上の店頭スタッフが足りません。業界によっては現場のひずみも顕著になり、悲鳴を聞いて、政府も方針を緩めるのではないか?と期待する人も多かったのですが、ところがどっこい。

ニュースを見る限りでは「今まで外国人労働力に頼りすぎた」と声明が発表され、「外国人の規制は一定の成果を上げた」と、どうもポジティブな評価に偏っている。・・・・ということは、この方策はしばらく緩むことはないはずだ。となると、現場では高い(仕事の割りに給料も高く、プライドも高い)シンガポール人(と永住権保持者)を雇わなければならない。

→会社では人件費の上昇は不可避。

→仕事を選べる立場のシンガポール人と永住権保持者は、定着度が低く、常に採用を繰り替えし、スキルに見合わない高い給料も払わなければならない。

→シンガポールは異常に家賃が高いので、経営上は固定費で既に二重苦。(お店の売上がそれに勝れば問題はありません)

飲食の場合、「シンガポール流にアレンジ」を加えた途端、客足は鈍るのもパターンである。あと、ローカルに任せた途端、盛り付けがひどくなる。目で食べる・・・・という意識がないのだと思う。例えば、元はオーストラリア系の会社ですが、メニューを見て、分厚いステーキをオーダー。

出てきたステーキは、ご覧のとおり、超薄い・・・・・。

安くもなかったので、店員さんに「これはあまりにメニューの写真と現物が違いすぎる。交換して、メニュー通りのものを出してください」とまで言ってしまいました。

「ウェルダンでご注文されたので、よく焼くと薄くなるんです」と言われ、「肉は焼くと厚みが増すんです」と怒りの回答。結局、らちがあかないので、レストランの会社のメールに写真を添付して 「メニューの写真を現物に合わせるか、写真どおりのものを提供するか、どちらかにしないと誤解が生じます。この店は、ローカルのストリートフードとは違うんです。プライドを持って仕事をしてください」と。

超余計なことまで書いた。

そのくらい、メニューの写真に期待して、届いた料理の貧相さに落胆したのでした。

従って、今のAlexの経営陣が、レシピをどんどんローカル流に変えていくことが、成功の近道には思えない。味と店作りでブランド化を図るなら、やはり一旦、目が届く範囲に店舗数を抑えて、日本流に近づけていくことを薦めたい。今、ローカルのトップは形だけ日本風にしている。和食器を多く取り入れたり、日本語を多く使うようになったり。でも、使う単語と場面が合わないとか、和食器の使い方が変だとか、そういうことは、さすがにわからない。とはいえ、「何かおかしいことがあったら言ってね」とも聞かれないので、余計なことを言って、気分を損ねられるのも困る。どうせ聞く気もないんだろうし~・・と思って、黙って眺めることにした。 どういうことか言うと、

ローカル的日本食(野菜、彩り、ほぼゼロ)
鮭の照り焼きソースがけ
エビフライ
鶏の竜田揚
妙に柔らかいタクアン

 

日本人が見ても、「日本ってこんな感じだよね」と思える、満足レベルの日本食
強いて言えば、お米がおいしくないのですが、安いので良しとする。

 

食器は悪くないけど、日本人ならこの茶碗にお茶袋は入れないよな~・・・・ (回転寿司じゃないんだし)と思える使い方
こういう所で、「この店には日本人が関わっていないな」と感じてしまう。

Alexが所属する会社の進む方向は、他社の成功パターンとは違うけれども 最近は「経営者の問題は、私レベルには関係がない」「私は私の仕事をするだけ」と割り切って過ごしたほうが、私にも楽だということもわかった。 感覚が違うな、おかしいな、と思ったり、意地悪されているな~と感じても、「どうせもうすぐ産休だし~」と、一歩引いて傍観することにした。

私は、今まで組織人ではなかった。人がやらないことは、自分の仕事だと思って、なんでも積極的に取り込んで、前へ前へと進んでいくのが正しいことだと思っていた。でも、ここでは自分を評価する上司から頼まれない限り、自分の枠を出ないスタイルが、会社人としてのあり方らしい。ずるいトップマネジメントから、余計な責任だけ押し付けられないように気をつけておけば良い。彼らは、人のせいにするのは、とにかく上手いのだ。

そんなこんなで、今の私は体も無理がきかない状態ですし、しばし自分の生活をエンジョイすることに決めました。

週に2日も休むことができて、大感謝。祝日もお休みできる!自分の時間がたくさんあって、「2年ぶりに、我が家でクリスマスパーティー開いちゃう!?」なんて、盛り上がったりして。

 

今日も、これからシャワーを浴びて、ちょっと中東の空気を味わいにトルコに行ってきます。子供が産まれる前に、ダンナと二人で最後の旅行。今まで仕事が忙しすぎて、彼と旅行をする時間すらなかったから。

 

会社の人には「子供が産まれる前に、最後のファミリータイム(家族の時間)を過ごさせてほしい」と言ったら、100%「ああ、Alexは日本の実家に帰るんだね」と思っている。だから、あえて中東方面に行くとは言わなかった。 本当のことを言ったところで、意味もないな~ と思って。差し障りなく過ごすのが一番。

なにげに、きちんとオフをとって旅行に行くのは、1年半ぶり。
今まで、ずーっと、ちゃんとした休みがなかったから、命の洗濯☆
ああ、楽しみ楽しみ♪ ワクワクするな~  って思っていたら、今、初めて胎動を感じました。

私がウキウキすると、ベイビーもHappyなのかなぁ?
キリキリとして、仕事のことしか考えていなかった日々から、今の私は大きく方向転換。

いつも仕事のことばかり書いているけれど、私は食べ物に関わることが好きで、食の場を通して、みんながもっと幸せにできるとは、今でも信じている。だから、どんな形であっても、食に関わる仕事を続けたいなぁ・・・ということだけは、決めている。

トルコ料理は、フランス料理、中華料理と並んで、世界3大料理の一つ。
どんなお食事が出てくるのか、とっても楽しみです。

いいレストランには行けないけれど、小さな街角のレストランで、おいしいものとたくさん出会えたら嬉しいな。

お米が好きなAlexとダンナ(M氏)は、主食がパンやじゃがいもの国は、精神的にタフ。お米がないと生きていけない二人(ノーライス・ノーライフ)ですが、トルコは、ヨーロッパとアジアの交差点なので、米料理もあるらしい。どんな食べ物が出てくるのか、とっても楽しみです。

それでは皆様、また来月お会いいたしましょう(^^)

 

ブログ執筆者執筆者:Alex

旧『シンガポール日記』を執筆。仕事運だけは悪かったシンガポール生活も5年目。30代後半で「食」への関心が高い自分にようやく気づき、我に返ってシンガポール系の食産業に就職。5年目の本気(たぶん)。ピンとくる人を探し続け数年。今の社長に「あ、この人だ」と感じたことが、今までの職場と違うところ。ここで芽を出すつもりで邁進中。
これがなければ生きていけないもの:米、醤油、旦那、チリ(順不同)

 

シリーズ : No Rice No Life (ノーライス・ノーライフ) 記事一覧へ

 


カテゴリー: No Rice No Life (ノーライス・ノーライフ) パーマリンク

感覚のズレを眺めつつ への2件のフィードバック

  1. m-m のコメント:

    なんのこれしき2が始まっていた事に先週気がつきました。
    日本にいる時からAlexさんのブログをずっと見ていて
    とうとうシンガポールで就職し今年で3年目を迎えました。
    私もたまに「なんのこれしき。。」と思いながら日々を過ごしています。
    いつかどこかでお目にかかってお礼が言えたらいいなーと思います。
    お体にお気をつけてお過ごし下さいませ。

  2. Alex のコメント:

    m-m 様

    ありがとうございます。
    そうですか、シンガポールにお住まいなのですね。
    きっとご活躍されていることと思います。

    私は相変わらず、いけてない暮らしぶりながらも、
    なんとか生きながらえております。
    苦労しながら、人も体も丸くなってきた気がしますが、
    お互いに健康に気をつけて、頑張りましょうね(^^)

    嬉しいメッセージをありがとうございます。