第9回 ルワンダ政府が重点分野としてあげている6つの分野

6月初めにまたルワンダに戻ってきました。 1ヶ月ほど離れてから帰ってくると仕事がたまっていました。それとは別に政治的に重要な案件に関わることを急に頼まれることも多く、少々余裕がなくなってきています。今回のルワンダの活動は後2ヶ月弱で終わる予定なので最後のスパートをかけ始めているところです。

前回アフリカ市場の可能性と共に日本企業のアフリカへの関心が少しずつ増えていると言う話を少しさせていただきました。今回ルワンダに戻ってきた際も、コーヒーでしたがJETROが企画した市場調査団がルワンダに来られていました。 その際JETROの担当の方に私の専門分野である情報通信技術セクターの可能性についてもお話しする機会がありました。担当の方との話の中でもアフリカは日本にとって遠い市場であるのは確かだが、今進出しなければもうチャンスは無いのではないかということがでました。

ルワンダの市場の風景

ルワンダの市場の風景

今回はリサーチをする時間が無かったためアフリカへの投資の統計や経済発展の統計を詳しくご紹介することはできないのですが、OECDの統計などをみると2000年に90億ドルしかなかった直接投資は2008年までに880億ドルまで増えました。(*1)  この数字が2015年までには1500億ドルに、そして購買力は同時期に64%増加で1.4兆ドルになる見込みです。(*2)  ちなみに2008年度のアジア全体の購買力は4.3兆ドルだったそうですから(*3) 、その1/3と言う事はかなり大きな数字ではないでしょうか。

例えばここルワンダでも他のアフリカ諸国と同じように道路や建設業を牛耳っているのは中国です。またかれらは消費財を中国から持ち込んで小売業で成功しています。 同じように東アフリカではインド人とインド資本の投資も豊富ですし、西アフリカのフランス語圏の商業を牛耳っているのはレバノン商人という話を聞きます。また韓国も消費者向けの電気製品や電話機でアフリカ市場を覇権しています。

日本は車の分野ではアフリカの市場(とはいってもほとんど中古車ですが)の支配的なポジションにいると思いますが、これも他のメーカーの追い上げが激しくなっています。経済的な軋轢を引き起こしている国と違い日本に対して好意的なイメージを持っている人が大多数なので。

アフリカでのビジネス・投資機会といっても色々な国があるので一概にはいえないと思いますが、ルワンダの場合政府が重点分野(特に国外からの投資に関して)としてあげているのは次の6つです:

 

1.    エネルギー 
ルワンダの電気の価格は1kWあたり米ドル換算で25セント程度します。この数字は日本並みに高いです。産業発展の足かせになっているだけでなく、一般の家庭の購買力を考えたときにあきらかに高すぎる値段です。天然ガス、重油、再生可能エネルギーなどを複合的に登用し、安定して値段が安いエネルギーの供給を可能にする事は最重点分野の一つです。

再生可能エネルギーもエネルギーの供給源として期待されています。

再生可能エネルギーもエネルギーの供給源として期待されています。

 

2.    観光
観光業はサービス業なので社会に対してのインパクトが大きい分野です。ただ近隣国に比べる低いサービスレベルを高めることと限られた観光資源をいかに増やすことが大きな課題になっています。このため外資の投資が期待されています。

ゴリラとチンパンジーはルワンダの観光業のスターですが、近隣国に比べると規模は小さいながらもサファリができる国立公園もあります。

ゴリラとチンパンジーはルワンダの観光業のスターですが、近隣国に比べると規模は小さいながらもサファリができる国立公園もあります。

 

3.    情報通信技術(ICT)
資源が乏しく人口の多いルワンダにとって知的産業の育成は国の経済発展のための起爆剤として期待されています。 地域のICTハブになるため過去10年以上にわたり重点分野として国がインフラ投資や人材育成などを行ってきました。自分が呼ばれたのもこの国の姿勢のおかげです。来る前に思ったより課題は山積しているのですが、ようやく競争力のある民間セクターが育ってきています。 自分の専門分野と言うこともありこの分野の話をさせると尽きないのでこれぐらいにしておきますが、大きな可能性はある分野だと思います。

ICT産業の育成には人材育成が欠かせません。 課題は大きいのですが国の発展のために役立てる様、大きな期待がかかっています。

ICT産業の育成には人材育成が欠かせません。課題は大きいのですが国の発展のために役立てる様、大きな期待がかかっています。

 

4.    鉱物資源
ルワンダ統計局などがだしている統計によると2010年度は高度な電子部品の製造に欠かせないレアメタルのタンタル、そしてタングステンや錫など7000万ドル弱の輸出がありました。タンタルはコンゴの紛争の大きな原因として挙げられている資源です。資源に頼った発展を遂げた国は大きな問題を抱えることが多いので、個人的に危惧するところはあるのですが、政府の重点分野の一つです。 自分の仕事にあまり関わりが無い分野なので詳しい事はわからないのですが、レアメタル産出の有望な国の一つだそうです。

 

5.    インフラ
インフラ整備は依然大きな課題の一つです。国内の基幹道路は改修がなされていますが、地方幹線は依然未舗装路が多いです。丘だらけの国なので道路や他のインフラを施設するのに大きな投資が必要なので積極的に海外からの投資を募っています。
また海外投資という意味ではルワンダの戦略的な位置を使うためのインフラを施設することを計画しています。ルワンダの東にはケニヤやタンザニアというインド洋に面している大きなマーケットが控えています。西には資源と人口が多く、よく「ワイルド・ウエスト」にたとえられる民主コンゴ共和国があります。この地の特殊性をうまく生かしていくためには適切なインフラを整備する必要があります。 東・西アフリカを繋ぐインフラは非常に限られています。 信じられないことですが、少し前まで東アフリカから西アフリカに行こうとしたらヨーロッパ経由にしないとたどり着けないということも多々ありました。ルワンダはアフリカのほぼ真ん中に位置しているため将来的には東アフリカと西アフリカを繋ぐ役割を担いたいと考えています。 そのため新しい空港も計画されていますし、タンザニアから鉄道を延ばすことも計画されています。

 

6.    農業ビジネス
農業従事者が国民の大多数を占めているルワンダでは農業生産性と多様性を高めることが急務の課題になっています。 コーヒーや紅茶といった主要輸出品ももちろんですが、その他の農業製品を加工し販売・輸出することなども考えられています。

ルワンダのお茶はコーヒーと共に主要輸出品の一つです。

ルワンダのお茶はコーヒーと共に主要輸出品の一つです。

ざっとルワンダの重点産業と海外直接投資を進めている分野を挙げさせてもらいましたが、他の国ではもっと色々な分野での可能性があるのだと思います。東アフリカの中でもケニヤなど可処分所得が増えてきている国では小売業や流通業なども可能性が高いと思われます。

またリサーチをしてお話ができればと考えております。

 

*1 Investing in Africa, OECD Blog, 15 October 2010, OECD Paris, http://blog.oecdfactblog.org/?p=269

*2 FDI in Africa to reach $150 bln by 2015-report, 03 May 2011, Reuteurs, http://www.reuters.com/article/2011/05/03/africa-investment-idUSLDE7420WO20110503

*3 Asian consumer spending seen at $32 trln by 2030 – ADB, Thu Aug 19, 2010 11:07am IS, Reuters, Delhi, http://in.reuters.com/article/2010/08/19/idINIndia-50934620100819

 

ブログ執筆者執筆者:山中敦之

阪神大震災の際に情報通信技術が災害復興に役立つ経験をして以来、モンゴルを始め世界中色々なところで情報通信技術を国や社会の開発に役立てる活動を行う。2010年初頭よりアフリカのルワンダで情報通信技術の政策アドバイザーをしています。

アフリカは過去に何回か短期出張で来ましたが、長期滞在は千の丘の国であるルワンダが初めてです。自分より日本人ぽいルワンダ人に時に戸惑いつつも、情報通信技術を使った社会・経済発展を進めるべく奮闘中。ルワンダだけでなく近隣国を含め、日本からはまだ遠いアフリカのことを少しでもご紹介できたら良いかと思っております。

 

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