Episode 5:雪から学んだ仕事の流儀。

今年の冬は寒さが厳しいですね。私も毎週のように東京や大阪に出張していますが、この寒さはコタエます。皆さんは“北海道の人だから寒さなんて全然平気”と思うでしょうが、実際は逆。意外と寒さには弱いのです!?

北海道では、外気温がマイナス10℃以下になることを考慮しているので、建物は暖房と断熱が完璧で、窓も二重。普通の家には「こたつ」がありません。家の中ではそんなに着込まなくても快適に過ごせます。一方、外出するときはがっちり着込むので顔以外、寒さを感じることはあまりありません。

そういう私が東京に来ると、札幌モードの防寒着だと汗が出るほど暑いし、打ち合わせで訪れるオフィスでは、(特に今年は節電の影響もあり)部屋の中が中途半端に寒い(20℃前後)。大体こんな感じで、冬場に出張が増えると慢性的に風邪気味になってしまいます。

さて、2月の札幌といえば・・・、そう「さっぽろ雪まつり」ですね。
私も通勤路が大通公園なので、ちらりとのぞいてみました。

さっぽろ雪まつり 会津の鶴ヶ城

さっぽろ雪まつり 会津の鶴ヶ城

これは会津の鶴ヶ城、高さは土台(ステージ)を入れると20mはあるでしょうか。この日は気温が-8℃ほどでしたが、その中でよさこいソーランの演舞!、踊りはアツイです。この雪像は陸上自衛隊の作品ですが、少しズームアップして見てみると、

 

さっぽろ雪まつり 会津の鶴ヶ城

さっぽろ雪まつり 会津の鶴ヶ城

この写真でお分かりのように雪でできているのに、このディテールです。
これも立派な技術だと毎年感心して見ています。

このさっぽろ雪まつりは、1950年に地元の中高校生が大通公園に6基の雪像を作ったことから始まったイベントで、今年で63回目です。雪や寒さというのは、北に住む我々にとっては正直やっかいもの。冬のハンディを逆手にとって楽しみに変える発想が、60年以上の歳月をかけて、市民の遊びから世界的イベントへと成長した良い例だと言えます。

さて、そこで今日は雪にまつわるエピソードを二つご紹介します。いずれも今の私の仕事のスタイルに大きな影響を与えた話です。

昨年TBSで木村拓也主演の「南極大陸」というドラマが放送されました。ご覧になった方も多いと思います。実際の南極第一次観測隊隊長だったのは地球科学者の永田武氏(後に文化勲章授章されました)、副隊長で第一次越冬隊長を務めたのは無機化学者で登山家の西堀栄三郎氏です。ドラマはこの実話を基にしたフィクションなので役名も違いますが、永田役を柴田恭兵、西堀役を香川照之が演じていました。

ドラマを見た方は、そのシーンを思い描いていただければ良いのですが、当初一次隊は南極で基地を建設するだけで越冬する計画はありませんでした。南極観測船宗谷で南極まで到達したとき、西堀副隊長は南極へ到達することの困難さに直面し、永田隊長に「このまま南極に着ける可能性は少ないので、そのまま越冬させてほしい。」と申し出たところ、永田隊長は、「越冬に当たってはあらゆる問題を検討し、安全面も含めて可能と判断できれば越冬をしよう。」と返答しました。しかし西堀氏は、「まず越冬することを決めましょう。そしてあらゆる課題の対策を考えましょう。」と再度要請します。結果越冬が認められ、以降の越冬に貴重なデータと知見を得ることになりました。

永田隊長が「判断」を求めていたことに対し、西堀副隊長は「決断」を求めていたという違いがあるのがお分かりいただけたでしょうか。

私たちも安全をトッププライオリティとする仕事であり、永田隊長流の判断をすることがほとんどです。それは間違いではありませんが、新しいチャレンジや改革をしようとなるとこれが大きなブレーキになってしまいます。最悪の状況を想定して「Almost Say No.」と言うのではなく、「Always Say Yes !」と、まずやると宣言して、それから考えるように意識しています。そうすることで、これまで見えなかったいろいろな機会(Chance)に出会えることが多くなったような気がします。カッコイイですが、実際は苦労の方が多いですけどね(苦笑)。

もう一つの話。北海道大学に低温科学研究所というところがあります。中谷宇吉郎氏(1900-1962、物理学者)が創設した研究所で世界的にも有名です。彼は東京帝国大学を卒業後、理化学研究所で有名な物理学者である寺田寅彦氏の指導を受け、イギリス留学から帰国後、北海道帝国大学に赴任し、雪の研究を始めました。彼はエッセイストでもあり、「雪は天から送られた手紙である」は有名なフレーズです。

物理学者がなぜ雪の研究を始めたのでしょうか?

彼の師である寺田氏に「北海道に行っても『研究費が足りないから研究ができない』などと決して言わないようにしたまえ!!」と言われて、北海道にふんだんにある雪を研究対象とし、雪結晶の形態分類を行い、その生成過程を実験により明らかにするまでなったということだと聞きました。

私が技術開発の仕事で行き詰まり、その理由を説明する資料作って上司のところに行くと、上司はこの話を持ち出して、私が「北海道だから、予算が足りないから、人がいないから・・・」などの言い訳を一蹴されてしまいました。

「できないと言うには、できない理由をすべてもってこなきゃダメだ!できる方法を一つ考えてくるほうが早いしラクだろう。」

確かに・・・。

降り止まない雪を見て、学ぶことも多いです。
寒いけど、雪が多くて大変だけど、ここにしかないもの。
北海道という土地はいろいろなことを教えてくれます。フロンティアスピリッツの片鱗がこういったところにも表れているのかもしれませんね。

さいごにおまけで寒中見舞いをひとつ。
雪まつり期間中、新千歳空港でうろうろしていた、夕張名物「メロン熊」。
個人的にはこの発想もどうかと思いますが、とりあえず観光客にはかなりウケていました。

夕張名物「メロン熊」

夕張名物「メロン熊」

 

これを見て、この厳しい冬を乗り切ってください!

 

ブログ執筆者執筆者:Asoo

北海道にて技術屋稼業もはや15年。鉄道システムエンジニアとして、もう少しで一人前と認められるかな?というところで、数々の壁にぶち当たり、試行錯誤を繰り返し五里霧中の日々を送る。仕事では、” Think globally, Act locally ! ” を信条としながらも、時には北海道のゆったりした空気に身を任せて「明日は明日の風が吹く」と自然体を大切にする。この「ゆるさ」が醸し出す雰囲気が、どうも私の特徴のようだ。結構切羽詰まっていながら、このように日々のほほんと過ごしている私の、鼻歌みたいな独り言をお送りします。

 

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