第2回 トラベルズー・ジャパン 代表取締役社長 武藤友木子さん

 

今回インタビューした武藤さんは、外資系コンサル会社で勤務した後にその時の同僚とともに起業し、起業した会社が1年以内に楽天に合併され、楽天で数年働いたのちに、トラベルズーという現在の会社の日本地域の社長へ抜擢されたという絵にかいたような成功を達成してきた人です。このような素晴らしい経歴を持ちながら、武藤さんのインタビューへの受け答えは柔らかく、会話する人を引き付ける力を持った人です。

トラベルズー・ジャパン


 

◆第2回
 トラベルズー・ジャパン
 代表取締役社長 武藤友木子さん

何でも真面目にコツコツやらなくては成功しないというのが信念だと別のインタビューで答えられていますが、例えばどのようなことをすればよいのでしょうか。

Hong Kong SkylineHong Kong Skyline / photos4uandme

私は外資系コンサルティングに入社していろいろなプロジェクトを経験しましたが、その時に1年間で200冊の本をよみました。座学の効果を軽視する人がいますが、何か自分の中で疑問があった際にそれに関連する本を読むと非常に頭に入り、効果的な勉強ができます。本を読むことで職場での成績も非常に良かったんです。

立ち上げたビジネスが楽天に合併され、楽天の中で営業チームで働いた時にこの信念はしっかりと自分の中に生まれた気がします。楽天では、集中して効果的に営業するために(当時は)立って電話をかけていました。皆が目標に向かって懸命に営業をかけていたのですが、その時は目標を達成するために夜中の23時59分まで電話をかけていました。楽天のお客さんはIT系の人たちも多く、夜に営業をかけることもできるのです。ある時の目標がどうしても達成まで1件足りず、それでも懸命に最後の最後まで頑張っていたら23時59分50秒くらいのところで1件のお客さんが入りました。まさに真面目に最後まであきらめずにコツことやることの成果が出た瞬間だと思います。その日は営業チームのみなで飲みに行きました。

一番信念を強くしたのは、楽天時代に英語を勉強した時です。私は英語の必要性は長らく感じていて、英会話学校に週末に通ったりしてかなりお金を英会話学校に投資していました。その時は1週間に1回「こんにちは」程度の会話をしに行く感じだったので長い期間勉強してもあまり上達しませんでした。ところがある日、三木谷社長から受かったらハーバードMBAに行かせてやると言われて、願書申請までの3ヶ月間の間に仕事が終わった後に真剣に英語の勉強を開始しました。会社への行き帰りは常にウォークマンで英語を聴き、会社から帰った後は2時間ファミレスにこもってTOEFの教材を勉強し、家に帰った後にアーリーマイラブ(○○)の1話を字幕無英語で通して1回、次は単語ひとつひとつが完璧に聞き取れるまで巻戻して聞き、最後の1回は理解を確かめるために字幕ありで聞きました。結局ハーバードには合格できなかったのですが、その時に英語が飛躍的に伸びました。真面目にコツコツやることで、短時間に長くだらだらとやっていた時よりもはるかに高い成果を上げたのです。

 

外資系コンサルティングや楽天は非常に厳しい職場だと思いますが、どうやって時間を見つけていたのですか?

家が会社から遠いところにあったので、その通勤時間やどこかの時間を見つけて本を読んだのだと思いますが、あまりいつ時間を見つけたのか覚えていません。自分の中では時間の管理が得意な方だとは思いません。自分は1日○時間勉強するという目標はあまり設定しません。むしろ、今日は○○ページまで勉強する、という目標を定めて、それが達成できるまでやるというイメージで管理しています。

 

夜中の2,3時に帰ってきて本当に疲れた時にやろうというのはなかなか厳しいですよね。

私はもともとワーカホリックなところがあり(笑)、その点はあまり問題になりませんでした。ただ、今の会社に入って思ったことは、仕事への集中力で帰る時間を早くすることは可能だということです。例えば、うちのイギリスオフィスは6,7時というレベルで非常に早く切り上げます。それに対し、日本のオフィスは一番遅い人で9時、10時まで残って仕事している人がいます。それにも関わらず、仕事の質を比較するとあまり変わらなかったり、イギリスオフィスの方が質が高かったりします。最初に○時に帰るという目標を設定することで、集中力を高く保つことができるんだと思います。ここは見習わないといけない部分だと思います。

前はワーカホリック的に働いていましたが、今はバランスを考えるようにもなってきました。一方、最近日本で話題になっているワークライフバランスには少し違和感を覚えますね。若い人がワークライフバランスを主張するのはしっかりと仕事をこなせるようになってからの方が良いと思います。勝間和代さんは私の古くからの友達なのですが、私も彼女も外資系コンサルティングに働いている時までは異常な仕事生活(ワーカホリック生活)を送っていました。そこまでやって初めてどうやってワークライフバランスを保つために仕事をするかを理解できると思います。自分の仕事がこなせずに主張するのは少しおかしい(笑)

 

本を読むのが良い勉強方法だとおっしゃっていますが、本を読むときに姿勢を教えてください。

座学が重要だと言いましたが、本を右から左までとりあえず読むというようなやり方はあまり効率が高いとは言えません。コンサルティングの仕事は戦略を考える際に、マーケティング戦略であったり、セールス戦略であったり、オペレーション戦略であったり、新たな問題が与えられるので、その分野の本を毎回本屋に行って紙袋両手一杯に買ってきて読んでいました。今、解かなければいけない問題があって答えを求めながら必死に読むと非常に頭に入ってきます。

この疑問点はコンサルティングに限らず皆が持つことができると思います。例えば、社内のセールスへのインセンティブシステムが変わった際には、会社が何を達成しようとしているのか気になりますし、組織が数年毎に改変されるのを疑問に思って、マネジメントが何を達成しようとしているのかという疑問を持ってそれに関連する本を読むこともお勧めです。そういう意味で、片っ端から空いている時間に本を読むことが勉強ではなくて、まずはしっかりと自分の仕事や会社の業務ややり方に質問を持し、それに関する本を読んでいくというのが自分の成績を上げるコツだと思います。こうすることで、自分が経理にいるから経理に関する本を読むというのではなくて、経理にいながら会社のマーケティングのやり方に疑問を持って勉強をするということも自分のステップアップにつながっていくわけです。

 

本以外に勉強されていることはありますか?例えば、人からの話を聞く際にはどういったことを気をつけていますか?

今は香港大学のEMBA(Executive MBA)に通っているのですが、授業で教授やゲストスピーカーの話を聞く際に、どうしてこの人がこのような言い方をするのか、自分だったらどういう言い方をするのかを考えながら聴くようにしています。こうすることでより積極的に人の話を聞いて勉強することができます。

例えば、ある授業で、投資銀行出身で今は成功している起業家がゲストスピーカーで来て、自分が投資銀行を辞めた後に立ち上げたベンチャーについて最初に話をしたことがありました。自分は聞きながら、どうしてもそのビジネスモデルでは成功しなそうだなと思っていました。その時は、結果的にビジネスがうまくいかずにビジネスモデルを変更して成功したという話で自分の思っていたことがあっていたわけですが、自分としては、仮に失敗しそうなビジネスモデルで成功していたらどういう工夫をして成功したんだろうということが疑問として持てることになり、より積極的にその部分について探りながら話を聞くことができるわけです。一方的に話を聞いて全部頭に入れるのは難しいかもしれないですが、疑問を持ちながら話を聞くことによってより積極的に話が聞けて得ることができるものも多くなります。これはMBAの授業に限らず、話を聞く際にはいつでも応用可能だと思います。

 

武藤さんはキャリアの中でずっと成功されているように見えますが、どのように目標設定をされているのでしょうか。

私は、社会人になった時から社長になりたいと思っていました。ところが、最近大学時代の友人に会ったら、私が大学時代にすでに社長になりたいと言っていたという話を聞いてもっと前から思っていたということがわかりました(笑)。今はその目標も達成してしまったわけですが、いつかは世界平和に貢献したいという壮大な夢を持っています。

最近のMBAで改めて学んだことで納得いく話があったので紹介します。目標設定にはいろいろな説があって、具体的な目標を設定すれば達成するという人もいます。ところがコロンビア大学のその教授は、例えば「イギリス国王になりたい」という目標を立てたらどうなるかと問いかけてきました。仮にその目標を立てた人は、一生を使って国王になるための画策をして、最終的にはなれない可能性が高い。そういう人の人生は、「目標が達成できない、達成できない」と日々悩みながら送ることになって不幸になってしまいます。もちろんこれは極端な例ですが、(達成できそうもない)具体的な目標を設定することは自分を苦しめることになる可能性があるわけです。そこで私はある程度抽象的な目標(○○社という具体的ではなく、「社長になる」、「世界平和に貢献する」)を設定してそこに向かっているということを感じることができるようにしています。後は目の前のことをコツコツと真面目にやることです。

 

ブログ執筆者執筆者:Masa

米国留学中に米国人と現地留学生の持つ開放的な感覚を目の当たりにした後、帰国した日本で閉そく感をひしひしと感じる。その後、香港に赴任して日本の存在が多方面で受け入れられていることに驚き、自信を回復。国際都市として成長した香港に住む香港人と日本人を含む外国人から学べることがあるはずと日々学習中。

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