第26回 ハレの日の料理

来年よりルワンダの新規プロジェクトが始まる事になり、幸い私がそのポジションに選ばれました。

その打ち合わせのため、12月半ばに5日ほど日本に戻っておりました。 さすがに5日しかないところにぎっしりと日程が詰め込まれると、体内時計がおかしくなってしまいますが、その分実の多い訪問になりました。

今回は、このブログの主催をされている堀口さんとAsooさんともお会いする事が出来、おいしい物を食べながら楽しくお話しする事ができました。

今回のプロジェクトでは、以前のように長期に渡りルワンダに滞在する事はなく、四半期に一か月程度の頻度でルワンダに参ります。 さすがにこれ以上長期に渡り家を離れるのは家族より許可が下りませんでした。とは言うものの、またアフリカに戻る機会が増える事から、こちらのブログでもフレッシュなアフリカ地域の話題をご紹介できる機会が増えるのではないかと思っております。

日本に帰り美味しい物を食べさせていただく機会を頂いたこともあり、今回はアフリカ・ビジネスの話はお休みし、久しぶりに食の話をさせていただきます。

この3年ほど、11月の終わりから12月の半ばまでというホリデーシーズンに家にいる事はありませんでしたが、今年は米国の感謝祭、そしてクリスマスと自宅で過ごすことが出来ました。自宅にいるときは私がいつも料理を作るので、今回感謝祭(とクリスマス)のごちそうを久しぶりに作る事ができました。

米国は感謝祭が日本のお盆・正月の様な物で、家族が実家・親戚の家にあつまります。そのため、一年で一番交通機関が込み合う時期です。航空運賃も高くなり、道路も渋滞がすごい中、何が何でも家にたどり着こうとするのは、傍から見ていて少し滑稽な物があります(米国人はけっして日本の盆・暮の渋滞を笑えないと思います)。日本のお節料理の様にこの季節のごちそうがあり、米国では感謝祭には七面鳥かハムが定番となっています。 ちなみにイギリスではクリスマスに七面鳥を食べる事が多いと聞きます。

娘に何が食べたいと聞いたところ、「ターダッキン」という答えがかえってきました。ご存知でしょうか? この頃米国で、感謝祭のごちそうの鳥として、七面鳥の丸揚げと共にはやっている物です。3年前にも作ったのですが、折角なので作る事にしました。

作り方は、鶏、鴨、七面鳥の骨を抜き、詰め物と共に層に重ねて、元の七面鳥の形に戻したものです。 元々は、七面鳥の丸揚げと同様にアメリカの南部の方ではやっていたらしいのですが、NFLが感謝祭に行う「サンクスギビング・ボール」の優勝者に振舞われたのがきっかけで、全米に知れ渡ったようです。

骨を抜いた3種類の肉を、詰め物を包みながら元の七面鳥の形に戻します。

骨を抜いた3種類の肉を、詰め物を包みながら元の七面鳥の形に戻します。

コンセプト自体はローマ時代からあり、というよりも食に対する探究に貪欲であった古代ローマ時代に絶頂を極めたものらしいです。一体どうやって焼いたか不思議なのですが、古代ローマでは食用ネズミから始まり最大24種類以上もの動物の重ね焼きがあったそうです。

イギリスのヘンリー8世も「コッケントリス」という、子豚と食用雄鶏を合体させたローストを、フランス王を歓待する宴会に出したそうですし、19世紀のフランスには「ロティ・ソン・パレイュ」、直訳すると「他にない丸焼き」という、欧州最大の陸鳥から鶯まで17種類の鳥の肉を重ねた丸焼きがあったそうです。

それらに比べると、わずか3種類しかない「ターダッキン」は、まだ調理しやすい方ですが、それでも骨抜きから8-9時間かかる低温での焼き上げまで、最低丸二日かかる料理です。

全部包み終えると普通の七面鳥と同じ外見になります。

全部包み終えると普通の七面鳥と同じ外見になります。

低温で調理しないと中までじっくり火が通らないので、感謝祭の日の朝早く起きなければならないのがつらいのですが、出来上がりは3種類の肉と詰め物が層をなしきれいなものです。

この様なハレの日の料理は何処の国も非常に特色のあるものがあります。例えば昔赴任していたモンゴルでは、旧正月には羊の尾っぽの蒸し焼きがごちそうとして出ました。ネパールでは、ヒンズー教のお祭りに際して山羊を神に捧げ、その御下がりをいただきます。ハレの日の料理はその国の歴史と文化の積み重ねであり、口に合うかは別として、感深い物があります。

個人的に、食に関する人類学は非常に興味がある分野なので、この様な特別の日の料理を味わい、作り方を習う事には大きな喜びを感じます。

出来上がり。切ると三種類の肉と詰め物が層をなします。

出来上がり。切ると三種類の肉と詰め物が層をなします。

今年度はこのブログを見られて、アフリカ(ルワンダ)についての事業についてお問い合わせいただく事が多くありました。お問い合わせいただいた皆様と、このような発表機会を作っていただいたDragon Laboratories様には、感謝の念に堪えません。

今年度の最後はとても私的な食べ物の話題で恐縮ですが、新年開けはルワンダから、もう少し真面目なテーマでお送りしたいと思います。

来年は皆様にとって良いお年でありますように願っております。

 

ブログ執筆者執筆者:山中敦之

阪神大震災の際に情報通信技術が災害復興に役立つ経験をして以来、モンゴルを始め世界中色々なところで情報通信技術を国や社会の開発に役立てる活動を行う。2010年初頭よりアフリカのルワンダで情報通信技術の政策アドバイザーをしています。

アフリカは過去に何回か短期出張で来ましたが、長期滞在は千の丘の国であるルワンダが初めてです。自分より日本人ぽいルワンダ人に時に戸惑いつつも、情報通信技術を使った社会・経済発展を進めるべく奮闘中。ルワンダだけでなく近隣国を含め、日本からはまだ遠いアフリカのことを少しでもご紹介できたら良いかと思っております。

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